完走

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間瀬8時間耐久レースも終わり、

次に俺たちが参戦したのは、10月の榛名の60分耐久レースだった。

今回はSPクラスではなく、ノーマルクラスに参戦した。

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このレースの前々日、学校では体育祭が行われ

調子に乗って5種目も出てしまった俺は、ハイパー筋肉痛に見舞われてしまった。

そして練習走行中、コーナーで足がつって転倒するという

凄まじいへなちょこっぷりを、披露してしまった。

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レース前日の練習走行ではシリンダーから水が漏れるというトラブルがあったものの

ガスケット交換でトラブルは解消された。

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そして決勝レース。

今回もスタートライダーは俺がやることになった。

スタート時、前回の榛名のレースのようにエンジンが回らないなんてトラブルは無かったものの、

1周目のバックストレートに入ったところで背後を振り返ってみたら

俺の後ろには1人もいなかった…。

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    「ま、まじっすか!?」

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とりあえず、必死に走ってはみたものの

今回も30分で2台を抜き去るのがやっとだった…。

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そしてマツとライダー交代。

2台のトップグループが壮絶なマッチレースを展開する中

マツは無難に周回をこなしていった。

トップグループのバトルがあまりにも凄かったため、

俺はピットに戻ってからトップグループばかり見て

マツが走っているところなんてほとんど見てなかった…(^^;)

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そして、レースは終盤に差し掛かりトップの2台の間にほんの少し差ができた頃

コントロールライン上でチェッカーフラッグが振られた。

しばらくするとマツも最終コーナーに入ってきた。

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    「ふう。今回は無事に完走できるかぁ〜」

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と、安心モードに入ったその時、

なんとマツの直前を走っていたライダーが転倒した!

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    「おい!まじかよ〜!?」

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一瞬ヒヤっとしたが、マツは巻き込まれることなく無事チェッカーを受けた。

これがミニバイクレース参戦3戦目にしての初完走の瞬間だった。

順位は総合12位。

ノーマルクラス6位。

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この日もシゲちゃんがレースのビデオ撮影に来てくれていたのだが

レース終了後にビデオカメラを向けられた俺たち2人が共に口にした言葉は

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    「まぁ、こんなもんでしょ…」

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だった。

この言葉は、奇しくも「バリ伝」の中で巨摩郡が全日本AB250ccクラスでの

初レース後にこぼした言葉と一緒だったのだが、

決して俺たちは意識して言ったわけではない。

まぁ、バリ伝にかぶれていたのは確かだが…。

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